盆盆と待ち来る盆もただ三日。

信州の夏の終わりは早く、盆が明けるとともに朝夕ともなれば涼風が吹き、近くに秋を感じ始めます。その季節の変わり目を灯籠流しが更に鮮明に映しだすのです。

送り盆の行事の一つと思えば、確かに代々の墓に戻った先祖たちが再び彼の地に経つを送るものでもあり、そうした情緒も伴って、当地では夏の送りでもあるのです。先祖たちが呼び寄せた現世の家族たちは、その年に新盆の有無に関わらず、天龍川の川面に集い、新盆に手向けられた行灯や提灯の類を精なる火に気持ちを寄せ、集め、また見守る観衆は、その静寂と荘厳な火の流れに先祖を弔うのです。

こうして灯籠の灯とともに天龍の川の流れに揺られた精霊が再び天に戻って行きます。

信州の夏が終わりを告げた瞬間です。

間もなく、灯籠流しの会場は花火大会の打ち上げ会場へと移り変わり、少々の時間の後には雄大な花火の閃光と炸裂音に包まれることになります。

旧くから「花より団子」と言い伝えられますが、灯籠流しと花火大会のいずれが花で、いずれが団子か…。毎年、その場に居合わせながら、明確な答えを得ないままこの年齢になりましたが、無事に来年のこの時季に、再びこの地に立って居られるようであるならば、必ずやその答えを得体ものだ、そう決意を新たにしたのです。

今年も、いや来年も、天龍川の灯籠流しに臨みたいと思います。